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広島県立保健福祉大学理学療法学科 沖 貞明、大塚 彰、金井秀作 |
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成人の足に痛みを生じる原因は非常に多く、足そのものに原因がある場合から全身疾患の一部として足に痛みがあるものまで様々です。さらに、足の疾患そのものの数も非常に多く、先天性(生まれつき)の疾患、小児に発症する疾患(小児のときは自覚症状がなく、成人になって症状が出現することもあります)、成人になって発症する疾患、外傷の後遺症、腫瘍など大変多くの疾患があります。
この項では、足に痛みを生じる代表的な足の疾患について、履き物と関連させて述べます。 |
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1)外反母趾 |
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母趾の基部の関節のところで第2趾に向かって曲がり、痛みがでる病気です。(図1) |
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遺伝的な因子に加え、履き物が関連しています。日本人の靴使用傾向の増加と伴に、外反母趾の発生頻度が増加したという調査があります。さらに、ヒールの高い靴も母趾の外反を強めるため、良くないと言われています。 |
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軽症の場合は、靴を履くことを控える、足にあった履き物を選ぶ事で良くなる場合があります。また、母趾に関連する筋力を強化することも重要です。特に、母趾の内反運動(母趾外転筋の強化)が有効だと言われています。(図2)
以上のような治療でも良くならないときは、装具による治療が行われます。重症の場合は手術の適応となります。
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2)扁平足 |
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足の土踏まずにあるアーチが低下した状態を言います。このアーチは、骨の連結により形作られています。全身の栄養状態によっても土踏まずの高さは変化しますので、正確な診断には、レントゲン写真撮影が必要です。(図3) |
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●先天性扁平足 |
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●静力学的扁平足 |
(アーチを支える筋・靱帯の弱化によるもの) |
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●麻痺性扁平足 |
(脳性麻痺などの神経の疾患に伴うもの) |
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●外傷性扁平足 |
(踵骨骨折などの後遺症) |
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などに分類されています。 |
このうち最も多い静力学的扁平足は発症する時期により、小児期扁平足、思春期扁平足、成人期扁平足に分類されています。成人期扁平足は、中年期の肥満、加齢に伴う筋力低下・靱帯の弱化によって生じてくると言われています。
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成人期扁平足の治療としては、足底挿板という装具による治療が一般的ですが、同時にアーチを支える筋の強化(治療体操など)も重要です。
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3)モルトン病 |
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第3趾と第4趾の基部のところで神経が圧迫されておこる病気です。(図4)
歩行時の踏み返しの時に、同部位に痛みがでます。第3趾と第4趾の感覚障害を伴うこともあります。 |
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詳しい原因は不明ですが、先の狭い靴や、ハイヒールが原因となり、第3趾と第4趾の骨の間を通る神経を圧迫して起こると言われています。 |
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先の狭い靴や、ハイヒールを避けるということが重要です。装具による治療、注射や手術が行われることもあります。
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